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| イタリア全土には無数に山岳都市があるが、とくに中部から南部にかけては、高い山の上にある町が多い。そのなかで、エリチェ(エーリチェ)の海抜751メートルという数字はけっして珍しいものではない。 しかし、海のすぐそばにそそり立っている山の上にあるものだから、付近の町からエリチェまでは、正味700メートル以上もの高低差があるというわけだ。 ふもとから見ると、まさにそそり立っているという印象である。 シチリア最西端の町トラーパニからバスで1時間近く。ふもとの町をいくつか越えると、急に道は険しくなり、両側に荒れ地が広がってくる。本当にこの上に町があるのかと疑問に感じるほどだ。 ところが、バスの行く手に突然城門が現れ、その向こうに、急な坂道とその両側に立ち並ぶ家々が目に入ってくる。 山岳都市を訪ねたときのいつもの一瞬だが、とくにここエリチェは感動が強い。 | |
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撮影: 2000年9月
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| 家の前に置かれた石のベンチには、誰が座るのだろうか。 | ![]() |
| この町で、有名な美術館や立派な遺跡を求めてはいけない(ちょっとはあるけれど)。 でも、知らない町を散歩するのが好きな人ならば、息を切らしながら坂道をのぼり、迷路のような路地をうろうろするだけで十分である。晴れていれば、とっておきの展望も楽しめる。 なにしろ、シチリアの西の果ての、しかも山の上である。ここまでやってくる苦労が大きければ大きいほど、遠くにやってきたんだという幸福感に包まれる。 |
![]() ▲坂道を登っていくと、片耳の切れた犬が、じっとこちらを見つめていた。 |
▼おばあさんの真っ赤な服がまぶしい。石だたみの模様にも注目。![]() |
| 「おお、あんたは日本人かい」 あまりに暑いので、広場で生ビールを飲んでいると、隣にいたおじさんに声をかけられた。私がそうだと答えると、 「去年の音楽祭で日本人の演奏家が優勝したんだよ」と言う。 「この町で?」 「そう、この町の音楽祭だ」 この狭い町のどこで音楽祭をするのか、不思議だったが、どうやら本当らしい。それにしても、大がかりな機械や道具を、どうやってこの山の上まで運ぶのか、人ごとながら心配になってしまった。 |
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静まり返った路地とは対照的に、広場のまわりには「どこにこんなに人がいたのだろう」というほど、人が集まっていた。 |
| まあ、それはともかく、こんな果てまで日本人の演奏家がやってくるのが意外だった。いや、よく考えれば、ミラノやローマからパレルモまでは2時間たらず。そこから車で2時間も走れば、エリチェに着く。 路線バスを乗り継いでたどり着いた私とは印象が違うことだろう。 それでも、くねくねした山道を登り、目の下に広がるパノラマを見ていくうちに、その演奏家はどんなことを思ったのだろうか。ずいぶん地の果てまで来たもんだと思ったのか、それとも演奏会のことで頭がいっぱいで、景色なんか見ている余裕はなかったのだろうか。 |
| ●所在地 シチリア州トラーパニ県 ●公共交通 ・パレルモ駅からトラーパニまで高速バスで所要2時間(1時間に1~2本)。イタリア鉄道で所要2時間20分前後(乗り換え便を含めて平日は日に8本ほど)。トラーパニからエリチェ行きバスで1時間。平日は日中約1時間~2時間に1本(Valderice経由とMartogna経由がある)。休日は本数が少なくなり、Valderice経由のみ数本。 ●見どころ ・晴れていればふもとの町や海の眺めが絶品。 ・小さな町なので、1時間もあれば十分に歩いてまわれる。三角形の町なので、路地に入って方向感覚を失うのが楽しい。 ●老婆心ながら この町の名は「エ」にアクセントがあるので、エリーチェじゃなくて「エーリチェ」と発音する。 |
![]() エリチェのふもとにあるヴァルデリチェ(Valderice--「エリチェの谷」という意味)から見たエリチェの山。山の尾根に建物がかすかに見える。 -画像にポインタを合わせると、山頂部が拡大されます- |
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