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東京 -昭和の記憶-
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タイトル

 

 神田神保町といえば、日本一の書店街である。とくに、これほど質の高い古書店が集中している地域は、世界的にも類を見ないそうだ。
  駿河台下から神保町、専修大学前、そして俎橋にかけての靖国通り沿いには、書店だけではなく、味わい深いレストランや各種専門店が立ち並ぶ。また、そこから一本脇道に入ると、専門書を扱う店、喫茶店、ラーメン屋などが軒を連ねており、知的好奇心にあふれた人の散歩には、絶好の場所である。

  私がここに通いはじめた中学生時代、駿河台下近辺にはまだスポーツ用品店はなく、関東大震災直後の町並みがずいぶん残っていたものだった。そして、改装前の東京堂のミシミシいう階段を昇って、2階の専門書売場を飽きずに巡ったり、これまた改装前のごみごみした三省堂の中で趣味の本を眺めたり、できたばかりの書泉グランデで、しおり集めのためにわざわざ本を買ったりしたものだった。
 そのころに町の写真を撮っておけばよかったのだが、それもあとの祭りである。ここにあるのは昭和の終わりから平成のはじめにかけての神保町界隈の姿である。

 おまけとして、神保町の隣り、九段にあった「竹平住宅」の写真も紹介しよう。 幽霊住宅ともあだ名されていた官舎である。

*写真にポインタを置くかタップすると、同じ場所の2008年の写真が見られます。


駿河台下あたり

駿河台下の交差点から、すぐ南側にあった看板建築の店。右がキッチン山田屋、左が桃牧舎(喫茶店)。
この千代田通りを左に進むとロシア民謡が聴けるロシア料理の店「バラライカ」があったが、そこにはいま再開発でできた神保町三井ビルディングが建っている。

1989.12(2008.4)


すずらん通りの入口近く。三省堂裏口の正面あたりにあった楽器店「三慶商店」。スイスの山小屋風の建物がおもしろい。この建物は取り壊されてビルとなったが、三慶商店はこの並びで営業を続けている。
現在の写真でバックに見えるのが、神保町三井ビルディング。

1988.8(2008.4)

すずらん通りの楽器店

すずらん通りの古いビル

すずらん通りにあった古風なビル。現在、寿ビルが建っているところ。左側に、「東方書店」の看板が見えるが、ここは中国関係の書籍を扱う書店として有名。

1989.12(2008.4)


すずらん通り・高岡商会

すずらん通りのほぼ中央にあった高岡商会。さまざまな種類の紙を扱っているだけでなく、奥深い店内では、わけのわからない標本やら模型のようなものが並んでいて、高校生にとって神保町のワンダーランドであった。(上の写真には、現在との対比はありません)

1988.3(2008.4)

すずらん通り・高岡商会

書泉グランデ脇の道

靖国通りから書泉グランデ脇の道を入ったところには、つい最近までこうした看板建築の古本屋が並んでいた。
写真手前の左側、書泉グランデ裏には、老舗喫茶のラドリオやタンゴ喫茶のミロンガが並ぶ路地がある。ラドリオは、かつて写真左の「リオ」と、店の中でつながっていたが、のちに「リオ」が分離。現在では、アートスペース「ラド」となっている。

1988.8(2008.4)


 


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