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あとでつらつら考えてみたのだが、ジェノバ駅に着いた時点で、おかしな雰囲気に気がつくべきであった。 時間つぶしにとジェノバで途中下車したのは、1985年の秋のこと。三浦カズとかいう日本人が、ここのサッカーチームに入るなどとは予想だにしなかったころの話である。
手荷物預かり所でリュックを預けようとすると、なにやら50代くらいの係員と警官が押し問答をしている最中だった。どうやら、警官が荷物の中身をチェックしろと言っているらしい。
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この数時間後に、我が身にふりかかる災難があろうとも知らず、夜行明けのぼんやりした頭のままで、ジェノバ駅に降り立った駄菓子青年であった。 撮影 : 1985/11 Genova |
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次は私の番である。私が、爆弾のないことを見せようと、かばんのチャックに手をやると、係員は「そんなことをしなくていいんだ」とばかりに右手を左右に振って、左手で押しとどめた。そして、黙って私のかばんを奥に運びいれ、預かり証をくれたのである。
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| これは駅前のようす。港の近くの怪しげな雰囲気とはちがい、味わい深い風景である。 撮影 : 1985/11 Genova |
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それでも、ちょっと高台のほうに行くと、なかなかシブい町並みがある。気に入ったのは、古いビルが立ち並んで、その脇にトンネルがあるという風景だ。 さっそく、私は当時使っていたミノルタXDをかばんから出して、パチリと1枚撮った。 ……と、そのときである。 右手のほうから1台の車が、猛スピードでバックしてきた。 無茶な運転だなぁ、と思っていると、その車は私の前でピタリと止まり、中から警官が3、4人、どやどやと出てくるではないか。私は、あっというまに取り囲まれてしまった。 「何を撮ったんだ」 「え、え? ほ、ほら、古いビルにトンネルがあっていい風景だから……」 すると、20代後半とおぼしき警官が、わざとらしい身振りを交えて言った。 「ジェノバの町ではねっ、どこの写真を撮ってもいいんだよ。どこ~~でもね。でも、ココだけッはダメなのッ!」 最後の部分は、異様に力が入っていた。 「へ? なんで??」 すると彼は、道の反対側、2、30メートルほど先にある古臭いビルを指さしたのである。 (つづく) | |
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